MIYAZAKI STORIES

桐山 雄一

特殊伐採とロープアクセスが
切り拓く新たな職人像

Yuichi Kiriyama

桐山 雄一

ロープマン株式会社 代表取締役

https://rope-m.com/

宮崎県宮崎市を拠点に特殊伐採とロープアクセスの技術を用いた施工を提供する専門企業。
「不可能を可能に」を掲げ重機が入れない狭小地や高所での樹木伐採、足場を組まないビルメンテナンス等、高度な技術で課題を解決している。

樹木から高層ビルまでロープ一筋で
「不可能を可能に」する挑戦

Q:「ロープマン」という社名、非常にインパクトがありますね。具体的にどのようなお仕事をされているのでしょうか。

A: 主軸としているのは大きく分けて二つあります。一つは「特殊伐採」です。人里離れた森の中ではなく、住宅の裏山や電線の近く、寺社仏閣の境内といった、重機が入り込めない狭い場所や高い場所にある樹木を、ロープを使って登り、少しずつ吊り切りしていく仕事です。そしてもう一つが、「ロープアクセス」という下降の技術です。これは主にビルやホテルといった構造物の外壁補修などに用いられる技術で、屋上からロープ2本で降下し、足場を組まずに作業を行います。

 

Q:「登る」特殊伐採と、「降りる」ロープアクセス。一見似ているようで、技術的には異なるのでしょうか。

A: 基本的な道具も違い、考え方やリスク管理の視点が全く異なります。ビルなどの構造物は形が一定ですが、樹木は一本一本、枝の張り方も違えば樹木の種類でも強度が違います。どちらの現場も経験することで、それぞれの技術を補い合えるような発見が常にあります。特に「ロープアクセス」では、最近大規模ホテルの改修工事に携わりました。足場を組んだ後に、壁面に打ち込まれた無数のボルト穴を一つずつシーリングして回るという非常に緻密な作業です。年末の極寒の中での作業でしたがロープ2本で自由自在に動き回り、確実に穴を埋めていく。効率と確実性が求められる現場で、私たちの技術が発揮できることを再確認しました。

 

Q:「不可能を可能に」という言葉が名刺にもあると伺いました。

A:どんなに厳しい条件下でも「どうすればできるか」を考え抜き、断らない。施工能力を高め、作業日数を極限まで短縮する。その姿勢が私たちの強みだと思っています。

 

「誰にでもできる仕事」を脱ぎ捨て、
心から楽しめる道を求めて

 

Q:最初からこの道を目指されていたのでしょうか。

A:実は私の最初の社会人経験は地方公務員、つまり役所の事務職でした。当時はやりたいことが明確にあるわけではなく、周囲からの「安定」という言葉に背中を押される形で就職したんです。

 

Q:公務員からロープのスペシャリストへ。正反対の職種のように思えますが、何が転機となったのですか?

A21歳の頃に出会ったボルダリングがきっかけでした。趣味として岩場を登り、ロープを扱う楽しさにのめり込んでいく中で、「この情熱を仕事にできたら最高だ」と強く思うようになったんです。

公務員の仕事も大切でしたが、どこかで「自分じゃなくても、代わりがいるのではないか」という葛藤がありました。私は、自分にしかできないこと、替えのきかない仕事をしたいという欲求が人一倍強かったんだと思います。

 

Q:そこからすぐに独立されたのですか。

A:まずは30歳になるタイミングでボルダリングジムの経営に携わる事をきっかけに独立し、同時に

ツリークライミング(ロープを使った木登り)の技術を学び始めました。その後、コロナ禍という厳しい時期も経験し、ロープを使った特殊高所作業の技術をより専門的な現場で活かしたいと考え、創業し現在に至ります。

「趣味の延長線上を仕事にする」というスタンスは今も変わっていません。もちろんリスクのある仕事ですが自分が心から楽しいと思えることだからこそ、どんな過酷な現場でも常に頭を使って成長し続けることができるのだと感じています。

公務員時代に感じていた「安定」よりも今の「挑戦」の中にこそ、

自分の生きる意味を見出しています。

 

究極の現場で守り続ける誇り

Q:常に危険と隣り合わせの現場だと思いますが仕事をする上で最も大切にしていることは何でしょうか?

A: 何よりも「人の命を守ること」です。これは自分自身だけでなく、一緒に働く仲間、そして私を支えてくれる人たち全員を含みます。この職業は一度のミスが命取りになります。だからこそ、現場での「気配り」や「阿吽の呼吸」が不可欠です。

 

Q:お一人で完結する仕事ではなく、チームワークが重要だということですね。

A:私は本当に仲間に恵まれていると感じます。自分一人では解決できない困難な現場でも信頼できる仲間がいれば乗り越えられる。自分から集めたメンバーもいれば助けてもらうこともあります。そんな横の繋がりがあるからこそ、今のロープマンが成り立っています。また、私たちは常に「自然」を相手にしています。特に特殊伐採の現場では、切る対象である樹木に対して、私は「先輩」だと思って接しています。

Q:樹木を「先輩」ですか。

A:木は人間よりもずっと長く生きています。ですから登る前には必ず幹に手を触れ、「今日は登らせていただきます、よろしくお願いします」と心の中で挨拶をします。神秘的かもしれませんが、そうすることで、その木の重みや生命力を感じ、より慎重に、かつ敬意を持って仕事に臨むことができるんです。

 

Q:今後の展望としてどのような会社にしていきたいとお考えですか。

A: ロープアクセスの分野では、よりシステマチックな「ロープマン軍団」のようなプラットフォームを作りたいと考えています。単純作業に見えて高所での細かな気配りができる職人を育て軍団として機能させていく。一方で特殊伐採は、より属人的な、研ぎ澄まされた職人技の世界です。

この二つの軸を成長を止めずに追い求め続けたい。同業者から「いつも楽しそうだね」と言われることがありますが、それが最高の手向けだと思っています。リスクを楽しみ、技術を磨き、何よりも現場で笑っていられる。そんな集団であり続けたいですね。

「好き」を原動力に、
自分だけの「答え」を見つけよう

今の時代、安定を求めることは決して間違いではありません。しかし、もし君の中に「これを突き詰めたい」という熱い想いがあるのなら迷わずその道を選んでほしい。仕事は単なる「労働」ではなく自己実現の場です。常識に囚われず、どうすれば不可能を可能にできるか考え続ける力こそが君の未来を創ります。

代わりのきかない自分だけの武器を磨き、一度きりの人生を全力で楽しんでください。

「好き」を原動力に、
自分だけの「答え」を見つけよう