MIYAZAKI STORIES

結城 啓太

100億企業への挑戦!
練りゴムのシンコー

Yuki Keita

結城 啓太

株式会社シンコー 代表取締役社長

http://www.kyushu-shinko.co.jp/

宮崎県延岡市出身。宮崎大学工学部卒業後、ゴムメーカー勤務を経て、1988年に株式会社シンコー入社 。常務、専務を歴任し2025年に代表取締役社長に就任 。
座右の銘は「リーダーは空気を読むのではなく、空気を変える存在であれ」 。現在は「100億企業」の実現に向けて新工場建設やDX化など次世代を見据えた経営体制の構築に尽力している 。

伝統と転換、自転車から世界の「練りゴム」へ

Q:株式会社シンコーの歩みと事業内容について教えてください。

A:私たちの原点は1946年、大阪の八尾で自転車のタイヤやチューブの製造を開始したことにあります 。その後、1969年に宮崎県都城市の高城町に第一号の誘致企業として工場を設立しました 。当時は自転車用の完成品を作っていましたが時代の流れとともに1996年には製造拠点を中国工場へ移管しました 。

 

Q:完成品の製造から現在の主力である「練りゴム」事業へはどのように移行されたのでしょうか。           

A:生産の基幹であった自転車タイヤ事業が海外へ移ったことで、国内に残った私たちは新たな道を切り拓く必要がありました 。そこで注目したのがゴム製品の素材となる「練りゴム」の外販です 。日本各地のゴム製品メーカーへ地道に営業活動を続け、現在ではタイヤメーカーを除けば国内第2位の生産能力を誇る精練事業へと成長しました 。

 

Q:「練りゴム」以外にはどのような事業を展開されていますか。

A:大きく分けて3つの柱があります。1つ目は配合設計から一貫生産する「練りゴム」の精練事業です 。2つ目は建設機械や農業機械に使われる「ゴムクローラー」の製造販売です。これは日本でも数社しか手掛けていない分野です。そして3つ目がプレス加硫によるゴム製品の製造です。これらの3分野を軸に多角的な事業展開を行っています。

大手メーカーも信頼を寄せる
独自の技術力と「ニッチ」の追求

Q:シンコーが持つ最大の強みはどこにあるとお考えですか。

A:最大の強みは配合設計から混合まで自社技術で一貫生産できる体制にあります 。

私たちは大手タイヤメーカーの厳しい品質基準や供給量にも対応できる設備と技術を持っています 。特に大手メーカーでは対応しにくい複雑な配合や小ロットの依頼にも柔軟に応えられる点が、私たちの大きな優位性です。

 

Q:客先からの信頼も非常に厚いと伺っています。

A:長年培ってきた品質管理と納期やコストへの対応力が評価されています 。また機械設計や電気設計、メンテナンスまで自社で対応できる点も安定した供給を支える力になっています 。他社が嫌がるような「やっかいな仕事」も引き受、数十年かけて蓄積してきた独自のノウハウを還元していくことが私たちの使命だと考えています。

 

Q:宮崎という立地についてはどのようなメリットを感じていらっしゃいますか。

A:ゴムの練り工程には大量の冷却水が必要です 。この地は水資源が非常に豊富で製造環境として大変恵まれています 。また宮崎の人は穏やかで自然豊かな環境の中で腰を据えて仕事に取り組めるのも素晴らしい点ですね 。

さらなる高みへ。
「100億企業宣言」と未来への投資

Q:現在掲げられている「100億企業宣言」について詳しく教えてください。

A:私たちは2029年度までに売上高100億円を達成するという目標を掲げています 。現在の売上規模からさらなる飛躍を目指し202610月の完成に向けて最新鋭の精練工場を建設中です 。この投資は単に規模を大きくするだけでなく、社員の働く環境を抜本的に改善することも目的としています 。

 

Q:新工場の建設にあたっては補助金やシンジケートローンの活用など積極的な資金調達も行われていますね。

A:もともとは無借金経営を続けてきた会社ですが将来の成長と社員への還元のために今回初めて大きな融資や「中小企業成長加速化補助金」に挑戦しました 。事業計画をしっかりと銀行や行政に理解していただき、採択を受けたことは私たちのビジョンが認められた結果だと自負しています 。

 

QDX化や自動化についても注力されているそうですが。

A:労働環境の改善と生産性の向上を同時に進めるため、DX化を積極的に推進しています 。現場の負担を軽減し若い世代が「ここで働きたい」と思えるような魅力ある職場環境を整えることがこれからの経営において最も重要だと考えています 。

空気を変える存在として、不可能な壁を突き破れ

これから社会に出る皆さんに伝えたいのは自分の限界を自分で決めないでほしいということです 。私自身、技術者として入社しまさか自分が社長になるとは思っていませんでした。しかし、目の前の課題に一つひとつ向き合い「できない」という思い込みを捨てることで道が開けました。リーダーとは、単に場の空気を読む人ではなく自らの行動でその空気を変えられる人のことです 。失敗を恐れずに挑戦し、自分で考え、行動する姿勢こそが新しい未来を切り拓く力になります。シンコーもまた次の100億円、そしてその先の未来に向けて共に空気を変えていける仲間を待っています。

空気を変える存在として、不可能な壁を突き破れ