MIYAZAKI STORIES

成合 知宙

最後の一瞬まで笑顔を
食と家族の絆で紡ぐ介護

Nariai Tomohiro

成合 知宙

有限会社ライフサポート宙 代表取締役

http://budounomisora.web.fc2.com/

1989年、宮崎県日向市生まれ 。2012年に九州保健福祉大学を卒業後、家業である「ライフサポート宙」に携わる 。約5年前に正式に代表取締役に就任し、現在は宮崎県都農町を拠点に入居者一人ひとりの人生に最後まで寄り添う「看取り」と、元気の源である「食」にこだわったアットホームな介護サービスを展開している 。

「食」は元気の源。
五感で季節を感じる独自のイベント介護

Q:ライフサポート宙では「食」に並々ならぬこだわりがあると伺いました。具体的にどのような取り組みをされているのでしょうか?

A: 私たちは、ご利用者様にとって「食」こそが元気の源であり、人生の楽しみそのものであると考えています 。そのため、施設内の厨房で調理することにこだわり、単なる栄養摂取ではない「五感で楽しむ食事」を追求しています 。例えば、2ヶ月に1回は必ずバーベキューを開催します 。厨房を飛び出し、ホールで鍋を囲んだり、目の前で天ぷらを揚げて提供したりすることもあります 。お寿司の日には、ご利用者様に好きなネタを選んでいただき、海鮮丼にするなど、選ぶ楽しみも大切にしています 。

また、都農町は自然豊かで野菜や果物が非常においしい土地です 。旬の食材を取り入れることで、施設の中にいても季節の移ろいを感じていただけます 。過去にはクリスマスにケンタッキーを買ってきたり、バレンタインに甘いものを楽しんだりと、お医者様が許す範囲内で「食べたいものを食べる」喜びを提供しています 。夏には竹を切ってきて本格的な流しそうめんを行うなど、日常の中にワクワクする変化を作ることを欠かしません 。

「厳しい経営者」からの脱却。
笑顔がスタッフを呼び、居心地を作る

Q:成合代表は若くして代表に就任されましたが、組織運営で大切にされていることは何ですか?

A: 実は、代表に就任した当初の20代前半の頃は「社長とは厳しくあるべきだ」と思い込んでいました 。常にピシッとして、テキパキと指示を出し、ニコニコしてはいけないと自分を律していたのです 。しかし、ある時そんな自分に疲れ果ててしまいました 。そこから考えを180度変え「みんなが楽しいのが一番だ」と思うようになったのです 。私が笑顔でいるようになると、自然とスタッフも笑顔になり、今ではスタッフが新しい仲間を呼んでくれる好循環が生まれています 。介護業界はどこも人手不足と言われますが、ありがたいことに弊社では募集に困ったことがほとんどありません 。

また、ご利用者様との接し方も、あえて「綺麗な敬語」にこだわりすぎないようにしています 。もちろん初対面では敬語ですが関係性が深まるにつれて地元の言葉やフランクな会話を織り交ぜます 。自宅で過ごす時に家族と丁寧すぎる敬語で話す人はいないでしょう 。私たちは「生活の場」として、ご利用者様が壁を感じることなく、家族のようにリラックスできる環境こそが最高の介護だと信じています 。

最期まで自分らしく。
お酒と煙草で乾杯した「看取り」の物語

Q:現在、特に注力されている「看取り」の体制について教えてください。

A: 私たちが最も大切にしているのは、その方の人生の最後まで寄り添いご家族が安心して選べる場所であることです 。そのために看取りの時期に入ったご利用者様には、ご家族が24時間いつでも会いに来られるよう個室のアクセスを自由にするなどの体制を整えています 。

昨年の12月、看取り期にあったあるご利用者様のために、夜の6時頃からスタッフ、主治医、看護師、そしてご家族が集まり、大宴会を開催しました 。その方は昔、飲み屋さんを経営されていたこともあり、お刺身の盛り合わせを用意しビールで乾杯しました 。さらに、その方が大好きだった煙草も用意しました 。今のご時世、施設内で煙草やお酒というのは難しい面もありますが、ご家族と主治医の理解を得て「最期にやりたいことを叶えよう」と団結したのです 。その方は最期の日まで好きな煙草を吸い、みんなの笑顔に囲まれて過ごされました 。病院では決して実現できない、その方らしい最期をプロデュースできたことは私たちスタッフにとっても大きな財産となりました 。

 

Q:今後の展望をお願いします。

A: 今後は現在の「食」のイベントをさらに進化させたいと考えています 。来年度は洋食ビュッフェに挑戦する予定です 。もしご利用者様に好評なら継続し、そうでなければ中華にしてみるなど常にスタッフ発信で「面白いこと」を形にできる組織であり続けたいですね 。IoTの導入など情報のアップデートも行いながら、人間らしい温もりのある時間を守っていきます 。

 

<若者へのメッセージ>

やりたいことを見つけ、挑戦する楽しさを

「やりたい」と思ったら、形を気にせずまずは動いてみてください。経験も後ろ盾もない状態から始めた私ですが、本気で動けば必ず誰かが応援してくれます。完璧な計画よりも大切なのは、一歩踏み出す勇気。一生懸命に取り組めば結果は後からついてきます。失敗を恐れず直感を信じて走り出してください。「なんとかなる」の精神で動き出せば、必ず景色は変わります。

<若者へのメッセージ>