MIYAZAKI STORIES

坂元 基雄

世界が認めた宮崎発、
最高級熟成キャビアの挑戦

Sakamoto Motoo

坂元 基雄

ジャパンキャビア株式会社 代表取締役

https://www.japancaviar.jp/

1961年宮崎県日南市生まれ。建設会社の営業部長として活躍していたが、2004年に新規事業としてチョウザメ養殖の可能性に出会い、その情熱に人生を捧げることを決意。2013年に「宮崎キャビア事業協同組合」を設立してブランドを立ち上げ、2016年の株式会社化に伴い代表取締役に就任 。徹底した品質管理と独自の熟成技術を武器に、自社商品をG7サミットや国際線ファーストクラスに採用される世界ブランドへと育て上げる 。

ゼロからの挑戦:宮崎から世界へ轟く「ジャパンクオリティ」の夜明け

Q:ジャパンキャビアが設立されるまでには、どのような背景があったのでしょうか。

A:全ての始まりは1983年に宮崎県が開始したチョウザメの研究でした 。長い年月を経て2004年から民間での養殖が始まりましたが当時はまだ事業化への道筋は不透明でした 。転機が訪れたのは2012年です。予想より早く卵が採れることが分かり、私は「個々の養殖業者が競合するのではなく、一つのブランドに力を集中させて日本一を目指そう」と提案しました 。そうして2013年に11の業者が集まり「宮崎キャビア事業協同組合」が発足しましたが、完成した商品をフランス人シェフに試食してもらった際、「こんなのはキャビアじゃない」と酷評されたことが大きな転機となりました 。海外メーカーが秘匿していた「熟成」という概念を当時の私たちは知らなかったのです 。そこから何千回ものテストを繰り返し独自の「本格長期熟成技術」を確立しました 。2016年には、海外輸出を見据えた資金調達と世界トップレベルの工場建設のため「ジャパンキャビア株式会社」へと組織変更を行いました 。

 

Q:「宮崎キャビア1983」が世界的に注目されるようになったきっかけは何だったのですか。

A:やはり2016年の「G7伊勢志摩サミット」での採用です 。当時はまだ国産キャビアの認知度は低かったのですが、世界の首脳が集まる舞台で提供されたことで一躍脚光を浴びました 。これは長年の地道な努力が報われた、まさに「夜明け」の瞬間でした 。現在ではG7サミットに連続採用されるなど、世界のVIPをおもてなしするキャビアとして高く評価されています 。

究極の美味しさを求めて:
職人の手仕事とIoTが融合する製造現場

Q:他社のキャビアと比べて、貴社製品が圧倒的な支持を得ている理由と強みは何でしょうか。

A:私たちは「日本人が本当においしいと思えるキャビア」を届けることにこだわっています 。一般的な輸入キャビアは保存性を優先しますが、私たちは味と食感を犠牲にしないため、塩分約3%という極限の低塩分と無添加での長期熟成を貫いています 。これを可能にしたのは床からも菌を検出させない徹底した衛生管理を行うクリーンルームと、IoTによる緻密な品質制御です 。また、職人の手仕事も欠かせません。私たちの工場では、ピンセットを使ってキャビアに付着した不純物を一粒一粒、手作業で完全に取り除いています 。海外のシェフが見学に来ると「クレイジーだ!」と驚かれますが、この徹底したこだわりこそが世界で戦える「ジャパンクオリティ」だと信じています 。情熱と最新テクノロジーを掛け合わせれば、宮崎の小さな企業であっても世界基準のトップブランドと互角に戦えるのです 。

 

Q:まさに「妥協なき追求」ですね。最近では新しいジャンルの開発にも注力されていると伺いました。

A:醤油や出汁の旨味を取り入れた「和風キャビア」という新たなジャンルを確立しました 。日本人が本能的に「おいしい」と感じる繊細な味わいは、海外のVIPやインバウンドのお客様からも絶賛されています 。和の感性を武器に、欧米やアジアといった本格的な世界市場への進出を加速させています 。

「飾る」から「食べる」へ:
テクノロジーで変える食文化の常識

Q:事業を通じて、どのような新しい価値を世の中に届けていきたいと考えていますか。

A日本においてキャビアは、特別な日に料理の端へ少し添えられる「飾るもの」という既成概念があります。私たちはその常識を覆し、「食べるキャビア」としての文化を創造したいと考えています。そのために、日本人の味覚に寄り添う「和風キャビア」を開発しました。

 

Q:その「日常化」を実現するための具体的な戦略を教えてください。

A:現在は、大学などとの共同研究によりチョウザメの「成長スピードの向上」や「効率的にメスだけを産ませる技術」など、次世代の養殖技術の確立に目処をつけています。これにより原価を抑え、キャビアをより身近な食材にしていきます。 また、社内では「中小企業にこそAIが必要」という信念のもと、業務の半分をAIに任せる体制を構築しました。少人数のままでも売上を倍増できる強靭な経営体質を作り、常に新しい挑戦に時間を割ける環境を整えています。

 

Q:宮崎を拠点に世界を目指すことには、どのような意義があるのでしょうか。

A:宮崎には圧倒的な優位性があります。温暖な気候はチョウザメの成長を23年も早め、清らかな水が健康な魚を育てます。 何よりの財産は**「チーム宮崎」**の絆です。行政の研究、民間の養殖、そして私たちの加工・販売という分業体制に加え、地元の金融機関も「新しい産業の芽」を支えてくれました。この土地の恵みと人の温かさがあったからこそ、現在の私たちは存在します

Q:今後の展望と、最終的なゴールを教えてください。

A:名実ともに「世界に通用するキャビアメーカー」**になることです。すでにEUへの輸出基準もクリアし、世界へ勝負を仕掛ける準備は整いました。「和風キャビア」を筆頭にした世界進出、次世代養殖、そしてAI組織。この3軸の挑戦を通じて、宮崎発のグローバルブランドへと成長させていきます。

 

若者へのメッセージ

地方の小さな企業から、世界は変えられる

「宮崎の小さな企業でも、世界は目指せる」。私たちの歩みはこの事実を証明するための旅でした。豊かな自然と情熱的な人々に恵まれた地方には、無限の可能性があります。場所や規模を理由に夢を諦める必要はありません。

大切なのは、常識を疑う勇気と自らの価値を信じ抜く情熱です。私たちはAIやバイオ技術を武器に、常に「昨日までの正解」を更新し続けています。皆さんも自らのルーツを誇りに、世界を笑顔にする挑戦を始めてください。私たちのキャビアが世界へ届くように、皆さんの挑戦が日本の新しい夜明けになると信じています。

若者へのメッセージ